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虫こぶ/花と虫
実施日時 平成19年6月7日(木)9:30〜14:00
場所 大町自然観察園
受講者数 31名
講師 遠坂、渋谷
アシスタント 増田、山口、龍門
庶務担当 小橋、佐山、和波
オブザーバー 大橋
概要
駅前で5班に分かれる。公園に入ったところで増田さんより公園の概要(台地上がナシ畑のため、湧水が枯れず、水があることで遷移が進まないなど)について説明。安全やマナーについて話した後、5班に分かれ観察。参加者主体の観察会とし、虫こぶは参加者にさがしてもらうようにした。
ホタルブクロ(覗き込んでマルハナバチが登るときの足がかりになる花びらの内側の毛を見た)
サツキ(蝶に向けたガイドマークとその花びらの作るロート、粘る花粉)
ユキノシタ(雄しべが一本ずつ順に前に突き出て花粉を出すことを用意した写真と実物で)
ドクダミ(本当の花をルーペで)
イスノキハタマフシ(用意した虫こぶを切って中のアブラムシをルーペで見た)
ウツギ(花に来ている虫を観察)
サクラハチジミフシ
ツリフネソウ
シロダモハコブフシ(昨年のものと今年のもの)
アオキミフクレフシ(孵化した脱皮ガラも見られた)
イノコズチクキマルズイフシ(一つを切って中のウジをルーペで見た)
クマノミズキ
ミズキ
アオハダ
などの樹木の観察
キショウブ(花の作りとハナバチがもぐりこむときに花粉を受け渡す仕組みを確認)
エノキハトガリタマフシ(コレはこのあと虫こぶごと落ちて幼虫上体で越夏、越冬する)
エゴノキにたくさんの“おとしぶみ”とそのゆりかごから出てきたエゴノツルクビオトシブミの成虫
エゴノネコアシ(中にエゴノネコアシアブラムシ、コレはこのあとアシボソに寄主転換)
エエゴノキに別の大きな虫こぶ
イヌシデメムレマツカサフシ(?)
エノキハツノフシ
ケヤキハフクロフシ
ナラエダムレタマフシ
コナラハウラマルタマフシ(早春に枝先にできるナラメカイメンタマフシから羽化したナラメカイメンタマバチがコナラの若葉に産卵したもの)
などを観察した。
そのほかシラカシやムラサキシキブにも虫こぶを見つけた。バラ園ではミツバチの後ろ足に花粉籠があることを観察した。
観賞植物園では珍しい植物や花、ランの花の作りを見た。
虫たちと植物の織り成す複雑で不思議な関係を垣間見る一日となった。
その他
時期や場所について、あまり自信がないままに決定してしまい、下見でもなかなか虫こぶが見つからず花も少なく、担当として心配した。しかし実際には、虫こぶだけでなく“おとしぶみ”も見られたり、テーマにあった花も何種類か見ることができ、胸をなでおろした。これ以上あっても観察する時間が足りなくなるから丁度よかったようだ。
サツキの花、イスの虫こぶのサンプル、花の写真を用意した。あらかじめ下見で虫こぶを見つけられるルートを決めておいた。班毎の観察の順を決めてスタートしたのに後ろで待ちきれず追い越してしまったりしたが、初めて班を持った龍門さんには佐山さんがバックアップで付いて、和波さんが全体の進行を気配り声がけして、どのグループも上手にめぐり、時間通りにしっかりと観察を進めることができた。
ふだんは気持ち悪がるような虫こぶがテーマだが、参加者の皆さんはみな熱心に観察し、楽しまれていたようだ。
◎アシスタントとして活躍してくださった皆様、ありがとうございました。
資料 花と虫の関係(当日見られるもの)についての参考資料を参加者に配布し、各班に「虫こぶハンドブック」を携帯した。
キショウブ
6枚の花びらのうち、最も大きい3枚がマルハナバチの着陸場。花びらの基部のオレンジ色の模様が蜜のガイドマーク。ガイドマークに従って奥に進むと、行く手を遮る花びら状の雌しべに出会う。マークの指示通り雌しべを押し上げて潜り込むと、裏側には雄しべがあってハチの背中に花粉がこすりつく。このハチが次の花に飛んで行き同じように雌しべを押し上げると、雌しべの先端にあるスコップのような柱頭が背中についてきた花粉をすくいとる。雌しべの花柱も黄色で花びら状。蜜は細長い筒の中に。
ホタルブクロ
雄しべは蕾のうちに花粉を雌しべの花柱の毛に渡してしまう。太い筒状花弁の内側には長い毛がまばらに生えている。花が開くとマルハナバチがこの毛を足がかりに壁を這い登り、しおれた雄しべの付け根に守られている蜜を吸う。このときちょうどマルハナバチの背中が雌しべの柱頭をこすり花粉がくっつくサイズになっている。開花して初めのころは雌しべの柱頭は開いておらず、自分の花粉で受粉することはない。やがて雌しべの先端が3裂して柱頭が現れて、やって来たマルハナバチの背中から花粉を受け取り、受粉することになる。
ツリフネソウ
入り口でマルハナバチを待ち受ける白い雄しべの下に雌しべが隠れている。ハチは太い筒に潜り込み長い口を伸ばして渦を巻いた距の中の蜜を吸う。このとき背中が筒の天井から突き出ている雄しべ・雌しべをこする。
盗蜜する昆虫たち:スズメガはヘリコプターのように空中停止して長い口を差し入れて蜜を吸う。クマバチとオオマルハナバチは外から距の穴を開けてしまい、ニホンミツバチやクロスズメバチなど小さな蛾はその穴から蜜を吸ってしまう。
ユキノシタ
雄しべははじめ花びらと平行して並んでいる。成熟すると蜜を吸いに来たハナバチやハナアブに花粉がつき易いように立ち上がり花粉を出す。花粉が無くなると雄しべはもとの位置に戻る。最初に花粉を出すのは長い花びらの間にある雄しべで、次に下か3番目の右か左。その次が3番目の残った方。決まった順番で次々に花粉を出していき、最後は一番上の雄しべ。雌しべの前にはいつも1、2本の雄しべが立っているがすべての雄しべが花粉を出し終わると雌しべが伸びだし、先端が雄しべがあった位置にきて昆虫から花粉を受け取る。白色の花弁は5枚。長く伸びた下の2枚は昆虫の目を引く。上の3枚は小型で赤い斑点がある。雄しべは10本。
ドクダミ
白い花びらに見えるのは総苞で、穂に集まる小花には花びらも萼もない。総苞に誘われてアブが訪れるが日本のものはたいがい3倍体で単為生殖をするので虫の手助けは不要。
こうして手間なく種を作るうえに地下茎を伸ばして広がる。3倍体植物がすべて単為生殖するわけでなく、種を作らない場合も多い。
参考:田中肇「花の顔」、多田多恵子「花の声」
(報告:渋谷)