
昼の講座記録
木の話
実施日時 H 15・4・17 10時〜12時
会 場 市川市民会館 第1会議室
テーマ 木の話
講 師 町原 亨
庶務担当 遠坂 和波 海野
オブザーバー 湯本 増田 (以上 敬称略)
1・木の生長
大きくなるには、細胞の数が増えるか、細胞が大きくなるかである。
(60年間に大きさは2,5倍、数は32倍になるという研究あり。)
形成層は、細胞の製造工場。その原料は。
細胞は死んで木を創る。(殆どが春に生まれて夏には死んでしまう。)
2・セルロース・ヘミセルロース・リグニン
セルロースはブドウ糖分子が3〜4000個長く繋がったもの。
細胞壁は、セルロース約50%,ヘミセルロース20〜30%
リグニンは木部の20〜30%。
3・心材化
柔細胞(殆どが放射組織に存在し、細胞全体の5〜20%を占める。主に栄養物を貯える役目)のみ10数年生き残る。
死ぬ時に貯えていた糖を色素と樹脂に変える(微生物の生育を妨げる防腐剤)。それが周囲の細胞に入りこみ、細胞壁を覆い、細胞間の隙間を塞ぎ、細胞誕生後の木質化(リグニン)と、この心材化の2段構えで、微生物の攻撃を防ぐ。
4・あま皮(篩管部)
葉の光合成で出来た糖を、枝、幹のあちこちへ運ぶ組織。
5・樹皮とコルク
形成層から分かれて外側へ行った細胞は、分裂する力をもち、コルク組織を作る。水を通さないので外側の細胞は死んで樹皮となる。
6・木は腐る
微生物が木材を餌にして育つ。餌になった木材は壊れていく。
分子レベルでの破壊が進む事。一部がガス化のため必ず重さが減る。
7・木を食べる微生物
心材には好餌のデンプンは殆どなく、代わりのセルロースもリグニンに覆われ、且つその両者とも分子が大きすぎる為、消化酵素が必要である。
また微生物が生きるには窒素が必要で、普通CとNが30;1位が餌になり易いが、木材は3〜500:1程度で餌には向いていない。しかも心材には毒性の強い色素や樹脂が含まれている。
結局、木材を餌に出来るのは担子菌だけである。
8・木の模様
@ 年輪
針葉樹 仮道管90〜95% 柔細胞 10〜5%
仮道管の壁の占める割合の多いところが黒く見える=年輪。
〃 が形成層から分裂発生するのは春と夏のみ。
春の仮道管は径(50)の割には、壁は薄い(3)
夏の 〃 〃(15) 〃 厚い(5)( )内単位μ
広葉樹 道管20〜30% 木繊維 約50% 柔細胞20〜30%
道管はほかの細胞に比べ径が大きく、いくつか纏まるので、目につき易い。直径が100μになるものもある。
環孔材 大きさでなく、春に多く夏に少ない数の違い。年輪に見える。
散孔材 道管の出来かたは季節の影響を受けない。木繊維細胞も同じ。従って年輪は出来ない。熱帯材も同じ原因で年輪はない。
A 木目・木理
同じ様な細胞の集まりの中に、違った種類の細胞が入り込んだり、違った方向に向いて入ったりすると、その為に光の吸収や反射が変わり、人の目に木目として映る。
例えば整然と並ぶ木繊維細胞の中の直角方向の柔細胞や、大きさと形状の違う道管の集まりが目立ち、これを木目と見る。
これを正式には木理と称し、一般には、これに年輪や色を含めて木目ということが多い。
また、春材の、Nの仮道管やLの道管の横の膨らみと、Lの木繊維の縦の伸びは、他の細胞に比し著大であり、既に組み合った細胞の間へ、無理に潜りこむため、Lの木理は一本ごとに違い、時には非常に面白い木理を描く事があり、これを杢と称し珍重する。
B 木肌の色
木の色は、木が含む化学成分により決まる。辺材はどんな木も白っぽいから、木の色素とは心材の色素である。
辺材が心材化するときに防腐用成分の他に、色素そのものと、色素の原料となるものを生成する。色素の原料を作る仕事は生物本来の仕事で、正確にコントロールされているが、その原料から色素になるときに、酵素や酸素の現存量で、色素への変わり方が違う。
9・木の強さ
@ 幹
樹木は何百年もの間、幹で自分の身体の重みを支えて居り、その幹を木材として人が利用している。 枝葉20% 幹60% 根20%
樹木は、自らの重みを支え、長期の風雪に絶える為に、外部環境に最も適するような幹を、巧妙に作り上げている。
「木曾のヒノキは木曾で使い、山の南斜面のヒノキは家の南側で使うのが一番良い。」
A 木の重さと強さ
重い(比重の大きい)木ほど強い。
ヤング係数 = 一定の歪が生ずるのに必要な力
圧縮の強さ = 少しずつ力を強めて押し潰していき、急に手応えが無くなった時の、力の強さ。(圧縮破壊強度)
引張りの強さ= 両端を反対の方向に引張って、壊れたときの強さ。
木材の軸方向では、引張りの強さが、圧縮の強さの2〜3倍になる。
(風にしなう幹、葉を茂らせ、果実を実らせた枝)
圧縮の強さのみ→レンガのただ積み。 引張りの強さのみ→ロープ
B 比重
比重とは重さを体積で割った値
ところが木材は重さに水分が含まれ、一方、体積は空隙を含んでいる。
木材は伐倒後徐々に水分を失い、やがてある時点で安定する。この状態での比重を、気乾比重という。この含水率は約15%。
細胞壁の比重は、樹種を問わずほぼ一定である。――−1,50
木材の比重の大小は、細胞壁の占める割合の大小で、同一樹種でも個体間のバラツキは大きい。
バルサ=気乾比重0.16 リグナムバイタ=気乾比重1,24、
C 細胞壁はなぜ強いか、
ミクロフィブリルのヘリカルワインディング(ねじり構造)
木材のハニカム構造との組み合わせ
D 柾目と板目
曲げ=柾目の方が強い。 曲げ衝撃、せん断=板目の方が強い。
E 木は軽い割には強い。
比強度はアルミニュウムや鉄筋コンクリートより強い。
10・木と水との関係
樹木内の水の通り道は、N−仮道管 L−道管。
生立木の幹は、辺材で木の実質量の2倍、心材で4割の水分を含む。
細胞壁中の2〜30%のリグニンは水を弾き、8〜70%のセルロース
ヘミセルロースは、よく水と親和する。
木に入っている水の一部は、細胞壁の中のセルロース等にくっつき「結合水」となる。−細胞壁の実質の30%。
それ以上の水は細胞腔の中にあり、「自由水」と称し、簡単に蒸発する。
@ 含水率
水分と、木材の実質の重さ(絶乾重量)との割合
伐倒後、自由水から蒸発、30%を割ると結合水が蒸発、大気の湿度と釣り合った時点で安定。気乾状態と言う。
我が国では「15%」と決められる。
A 割れ
a,結合水の蒸発のよる細胞壁の縮みかたに、表面の細胞と内部の細胞に差が生ずる。
b,細胞壁の縮む程度が、方向によって差がある。
B 木材はなぜ沈まないか。
11・その他の長所
@ 湿度の自動調整 セルロース、ヘミセルロースの、水との親和力
A 燃えやすいが、燃え尽きない。
B 緊張を和らげる。 暖色、自然な感じ、ゆらぎ
C カビや、ダニの繁殖を防ぐ。
D 暖かく感じる。 熱伝導率が低い。
E 木の香り。抽出成分が、樹により多様で個性的。(法隆寺の檜材)
F 目に優しい木材。 反射光の柔らかさ、心地よい木目。
G 人に優しい音響的特長。効率よく振動を伝える。
以上